【レポート】“地球にやさしい”だけじゃない。オシャレでイケてる、エシカルファッション最前線!eco端会議」9月30日開催レポート(前編)

更新日:2021年11月11日

「大量生産」「大量消費」のものづくり。

ひたすらに効率を追求し、自然を壊し、生産現場は過酷な環境……。

その一方で、近年「そうじゃない」ファッションが少しずつ注目を集めています。


「エシカルファッション」とは、「素材」「生産」「販売」まで、人と地球に配慮してつくられたファッションのこと。

かみ砕いて表現するならば、「人と地球にやさしいファッション」といえるでしょう。

地球にも、人にもやさしい環境でつくられたファッションは、やさしいだけじゃなく、オシャレで、かわいくて、カッコいい!?


今回のeco端会議は「エシカル」をキーワードに、ネオエシカルファッションブランドを展開する「兆-kizasi-」さん、国産木材を使った、人と地球にやさしいものづくりを大切にする、あすなろ手芸店(ASNARO)の小畑明日香さんをお迎えし、鳥取県におけるエシカルファッションの最前線から、エコと温暖化について考えます!


ゲスト登壇者



兆-kizasi-|ヴィジュアル系エシカルアーティスト/ネオエシカルファッションブランド【兆-KIZASI- MADE WITH JAPAN】創設者・デザイナー


ヴィジュアル系バンドの元ギタリストで現在はミュージシャンの他に、ファッションデザイナー、モデル、アーティストなどマルチな活動を行なっている。環境問題や社会問題に関心があり、2018年の夏より "世界初のヴィジュアル系エシカルコンシェルジュ"としても活動を開始。エシカルファッションやサスティナブルライフを広める為に、新しいエシカル”NEO ETHICAL”を掲げ、エシカルファッションショーやトークイベントなど様々なイベントに出演。2020年には自身のエシカルファッションブランドの兆-KIZASI- MADE WITH JAPANを立ち上げ、オーガニック資材や伝統を取り入れたエシカルなものづくりにも奮闘している。

URL:https://www.kizasi-made-with-japan.com/


小畑明日香|あすなろ手芸店 代表


1991年大阪府生まれ。環境問題に関心があり「砂漠の緑化」の研究をするために鳥取大学農学部へ進学。森林豊かな鳥取県で地域活動に関わるうちに、日本の荒れた森林と林業の衰退に関心を持つ。「林業を活性化させるために木を売る方法を学びたい」とインターンシップや民間企業で国産材の製造販売や商品開発に携わった後、幼少期からの趣味である「手芸」と、長年の目標である「国産材の活用」を合わせ、エシカルな素材を専門に扱う「あすなろ手芸店」を起業。鳥取県智頭町を拠点に、国産材を使ったクラフトパーツの企画・製造・販売を行っている。

URL:https://asunarosyugeiten.com/


世界初!「ヴィジュアル系エシカルコンシェルジュ」


兆:元々、ヴィジュアル系のバンドでギタリストとして活動しており、昨年、エシカルファッションのブランドを立ち上げました。今はアーティスト活動をしながら、ファッションのデザインやモデルなど、様々な分野でSNSを使った情報発信を行っています。


また、2018年頃から「世界初のヴィジュアル系エシカルコンシェルジュ」としても活動させていただいておりまして、「ネオエシカル」を掲げながら、新しい形でエシカルを広めていく活動に取り組んでいます。


エシカルを知ったきっかけは、「ザ・トゥルー・コスト」という、ファストファッションの背景に追ったドキュメンタリー映画です。ファストファッションが与える影響の中で、環境問題や人権問題、動物福祉の問題など、いろいろなことが描かれていて、「このままじゃダメだ」と強い衝撃を受けました。そこから「エシカル」について調べていくうち、「音楽とエシカルファッションを通して社会貢献したい」と考えるようになり、2020年の2月にエシカルファッションブランドを立ち上げました。





兆:2013年、バングラデシュの商業ビル「ラナ・プラザ」が崩落するという事故がありました。「ラナ・プラザ」内にはファッションブランドの縫製工場が複数入っていて、事故の前日にスタッフの方が建物の揺れを申告していたにも関わらず、無視して操業を続行した結果、1,100人以上の犠牲者が出てしまったんです。以降「ファッション史上最悪の事故」と呼ばれるようになり、これは「ファッションレボリューション」という活動が始まるきっかけにもなりました。


他にも、ファッションの分野においては「水の大量消費」「二酸化炭素の排出量」「マイクロプラスチックやポリエステル、マイクロファイバーによる水質汚染や染料による土壌汚染」などの環境負荷、大量廃棄についても問題視されています。



(「エシカルファッション」の主な内容)


「兆-KIZASI- MADE WITH JAPAN」として2020年2月に活動を始めましたが、「貧困を無くす」「気候変動」「ジェンダー平等」「伝統」など、SDGの項目に囚われず、全ての問題に取り組んでいきたいな、と思っています。その取り組みのひとつとして、「兆-KIZASI- MADE WITH JAPAN」の商品では「インド産オーガニックコットン」をはじめ、独自のフェアトレードのもとに生産されオーガニック認証を取得している「bioRe Cotton」100%の生地を使用しています。


また、性別に囚われずに着用できる「ジェンダーフリーなシルエット」をオリジナルデザインし、日本国内で縫製を行ってますが、一方で「ワンサイズしかない」という点で、着ることのできない人が出てきてしまう、といった課題もあり、これから改善していきたいと思っています。


商品には、京都の伝統技術である「黒染め」を施していただき、日本の伝統技術の継承も意識しています。その他にも「和綿産業の復活」に強い関心がありまして、鳥取県境港産の伯州綿を和綿として復刻させ、今後使用させていただきたいな、と思っています。



(境港市の伯州綿畑にて種まき)


こちらは、境港市の方にご協力いただきながら、2、3年くらい取り組んでいます。「コストが高い」というのが課題で、いつ実現できるのかは未定ですが、いつかやりたいな、と思っています。


和綿の特徴として「太くて短いので糸にするのが難しい」というものがあります。和綿自体の繊維が短くて、紡ぐ時に切れてしまうので、現在はアメリカ産のコットンと織り混ぜて生産されています。商品の生地を100%和綿にすると、糸として生産する労力がかかってしまい、ものすごく高くなるんです。


あとは、製造機械がなかったり、生産する人がいなかったり、というのが現状で、工場が0に近いんです。実現がとても難しいのですが、現在は日本製のコットンも数種類しかなく、せっかく残っている文化がなくなってしまうのは嫌だな、と強く感じていて、復刻させたいという想いがあります。



(「兆-KIZASI- MADE WITH JAPAN」の取り組み(一例))


兆:試行錯誤を繰り返しながら、日々いろいろなことに取り組んでいますが、それが実を結び、「兆-KIZASI- MADE WITH JAPAN」は「オルタナ」というメディアの「サステナブル★セレクション」で、三ツ星のうち、二ツ星ブランドとして選定していただきました。

これからも、人・生物・地球環境のために「より良い未来への"兆し"」となる、そんなブランドにできるよう目指しています。

(米子の商店街で撮影したジャケット写真)



「海外の環境問題もいいけど、日本の山も大変」


ーー続いてマイクはエシカルマテリアルを制作する小畑さんに。


小畑: あすなろ手芸店の小畑です。現在は、智頭町の方で地元の木材を使った木製の製造業をしており、主にブローチやアクセサリーの製作・販売を行っています。

智頭町には「やまがた小学校」という廃校がありまして、2階の教室を借りて工房をしています。(2021年10月1日より「あすなろ手芸店」から「ASNARO」へ屋号変更のため、以下「ASNARO」と記載します)



元々は大阪出身で、鳥取大学への進学をきっかけに、鳥取県に来ました。

「手芸店」というぐらいなんで手芸用のクラフトパーツ、いわゆるハンドメイドをやる方に向けた素材や材料を作っていたんですが、コロナの影響を受けて方向転換し、今では智頭町のお土産や雑貨を作ったりしています。


ビジネスの力で、森林の問題を解決したい

11歳の頃(京都議定書があった時期)に、理科と社会の授業で「温暖化」「砂漠化」についての授業があって、これを将来の夢にしたいなと思い、乾燥地研究を唯一やっている鳥取大学に入学しました。そこで、教授から「砂漠化は技術的な問題とか科学的な問題ではなく、政治とお金の問題でお金さえあれば緑化ができる」「大学生の出る幕はない」と言われ、少し落ち込んでしまいました。


けれど、岐阜県のNPOの方から「海外の環境問題もいいけど、日本の山も大変」というお話を聞き、そこから林業に興味が湧きました。


いざ勉強してみると、日本の山は、緑が豊なようでいて実は手入れがされていなかったり、海外の資材のせいで木工品が売れなかったりして、林業が廃れていってしまって「災害時に崩れてしまう森林が増えた」という実情があり、智頭町をフィールドにして森の手入れをする、森林ボランティアのサークルを立ち上げました。



大学2年生の当時は「木の間伐材をパーツにして家具ができる」というのはあまり言われておらず、私自身「商品力が弱く、森にお金を還元する仕組みができていない」と感じたので、ビジネスを学ぼうと決意しました。


そこから1年間休学して、山口県のジャム屋へインターンシップに行き、「地元の果物を栽培・収穫し、ジャムを製造して販売することで、農家さんへ還元する」という事業を通じて様々なことを勉強しました。


「木をたくさん売る」となると、家や建築物の資材として販売するのが一般的で、国や行政といった大きな組織が「木をたくさん使うために建築物を作ろう」というのはあるんですが、建築系には興味がなくて、個人的にあまり好きじゃないんですよね。


それで、「自分の夢のために勉強しよう」と思っていたところで「好きなこととやるべきことを一緒にやればいい」と言ってくれた人がいたんです。


私は「手芸」が好きで、小さいものや、アクセサリーや縫い物で、ストールを作ったりすることが得意だったので、「木と手芸を組み合わせた手芸店を作ろう」と考えました。


ただ、新卒で起業は難しいと思い、まずは、製材・内装メーカーに就職して「端材をどうやってお金に変えるか」を課題に、1年ぐらい試行錯誤していました。お客様に試作品を見ていただいて、物足りないという意見があったので、端材を使ったワークショップ企画を提案をしたらすごく人気が出まして、これを私の方で事業をするという形で独立し、現在は経営を始めて5年目、というところです。


消費の選択肢を増やし、“エシカル”を当たり前の選択肢に


ASNAROの考えるエシカルとして、これは企業理念のひとつにもなるんですが、「明日の社会のためになること」を定義しています。最近は「SDGs」が話題ですが、そのような価値観は、特別な考え方でも新しい概念でもなくて、これまでに考えられてきたことや運動、思想をひとまとめに表したものだと思うんです。「エコ」とか「ロハス」とか、その当時の流行によって言葉は変わっても、基本概念としては、日本人の暮らしに昔から馴染んでいる身近なものだと思います。



「エシカル」や「SDGs」は、包括的ではあるものの、基本的には昔からある価値観をまとめたもの。「難しいことではなく、誰にでもできること」だと考えています。


今はまだ、海外の生産物に対して「エシカル」という言葉が使われることが多いと思うんですが、私自身は「地産地消」のイメージが「エシカル」に当てはまると思っていて、地産地消は、海外と比べて製造環境(トレーサビリティ)が見やすいので、日本人には取り組みやすいと思います。


今後は、「ASANRO」を「商品のデザインで幸せを表現できるメーカー」にしていきたいと思っています。


幸せって何かな、と思うと、「かわいい」や「かっこいい」みたいな「楽しさ」が結構重要で、生産地が産業を継続していくために、お金を落としていく「経済性」が大事だと思っています。


あとは、生産地の方に「誇り」を持ってほしい。購入してくださる方は「その商品がいい」と思って選んでいると思うので、それをちゃんと伝えていくことで、生産者も消費者も幸せになるんじゃないかな、と思います。


——お二人の話を聞いていると、「社会のため」「地球のため」はもちろんなんですが、それよりも「自分のため」「自分の関心」から活動がはじまっていると感じます。エシカルを小難しく考えるのではなく、まずは身近な好き・興味がある・おしゃれという感覚から入っていくのが自然なのかもしれません。


さて、「eco端会議」の後半は、参加者の方も交えて「エシカル」のもっと身近な話を展開していきます!(後編はこちら