9月10日にチーム「ゼロ・カーボン・チャレンジ」の第2回勉強会(オンライン)が行われました。
今回は、低炭素推進課の川口さん、環境ジャーナリストの村上敦さんに講演していただきました。
(1) 令和新時代鳥取環境イニシアティブプランの概要 川口氏
令和2年年度末に策定した令和新時代鳥取環境イニシアティブプランとは県の条例に基づく環境基本計画のことです。環境計画とは県の環境政策の基本的な方向を示す総合計画です。
令和2年から令和11年までの環境政策の方向性や目標を整理したプランになっています。
このイニシアティブプランが環境分野の取り組み全般の根幹という形で、また県の総合的基本方針である「鳥取県将来ビジョン」・「鳥取県令和新時代創生戦略」の具体化・保管を行う計画です。
鳥取県の場合は法律に基づく「地球温暖化対策計画」、「気候変動適応計画」としてもこのイニシアティブプランを築いています。
イニシアティブプランの内容
環境分野のSDGs達成を目指し、健全で恵み豊な環境を持続可能なものにすることがイニシアティブプランの基本的なコンセプトです。
達成を目指すために、基本的なプランの柱は次の5つの分野で整理しています。
1. 循環型社会の構築
・生産差と消費者による地域内での資源循環
・プラスチックごみ排出量や環境影響等の低減
・廃棄物適正処理による快適な生活環境確保
2. 低炭素社会の実現
・自立分散型の地域エネルギー社会の構築
・再エネ由来水素の活用による産業創出
・創エネ、畜エネ、省エネによる低炭素社会化
・気候変動適応によるレジリエンス向上
3. 自然・生物との共生
・県土全域における生物多様性の保護
・自然公園等の適切な保全と利用活用拡大
・災害に強く、緑豊かなまちづくりの推進
4. 生活環境の保全
・豊饒で賑わいある美しい三津環境の実現
・地下水資源の利用と保全の調和の確立
・星空環境の保全及び地域振興策の拡大
5. 環境活動の協働
・環境課題と経済、社会的な課題を同時に解決する地域経済システムの構築
・持続可能な生産活動・消費活動への転換
・イノベーションによる環境課題の解決
これらの分野の相互作用で「持続可能な地域社会の創造」を目指します。
人口減少や少子高齢化社会が進む中でどのように地域の活力を高めていくのか、どのように地域を持続可能にされていくのかという考え方を大切にしなければなりません。
→鳥取県ホームページ(令和新時代とっとり環境イニシアティブプラン)
(2) 気候中立、ゼロカーボンとは―ドイツのエコタウンの事例から― 村上敦氏
ゼロカーボンに向けて全体の国や県となると7割から8割の削減をすることができても最後の10割まで削減することは非常に大変なことです。
そこで一つの学校校区ほどのエリアでどのようなインフラが必要で、そのインフラを作った上で2050年に向け何をしなければいけないのかドイツのエコタウンの事例から説明します。
例えば、A町の規模を人口5000人、世帯数2200と仮定します。
1世帯当たりの年間エネルギー支出(電気・ガス・ガソリンなど)が30万円とすると全体で6.6億円になります。同時に民生業務・産業部門は全世帯の2倍ほどの年間13.2億円になります。
全国の地域内で循環するのは平均3割程度なのでA町のエネルギー支出20億円の内15億円は地域外へ流出していることになります。
これはA町内でエネルギーを生産することができなければ毎年流出していくことになる!
そこで、省エネ、高効率化、再エネを推進することで地域外へ流出するお金を少しでも抑える必要があります。→キロワットアワー・イズ・マネー
ヴォーバン住宅地の概要
この住宅地ではそこに住む人が特に環境に対する意識や取り組みを行わずして住むだけで二酸化炭素の排出量を約5~7割抑えることのできるインフラを構築した住宅地です。
ヴォーバン住宅地ではkwh=¥のコンセプト
ランニングコストでの節約分を先食いし、高付加価値なイニシャルコストに転換し、それらは地域の建築家やエンジニア、手工業者によって実現されました。
例えば…
・すべての建築は同時のドイツの国の基準より3割厳しい
フライブルク式・低エネルギーハウス方式を最低基準にしました。
↓
それにより約半数の建物は自発的に半減以下の長省エネハウスで建築されました。
・省エネ一基の高い市民と建築家、工務店のコラボで多数の省エネ家電の設備機器が導入
・マイカー利用の抑制をするため自宅前の駐車場設備の禁止しマイカーなしでも不便のない街づくり
↓
これによりマイカー所有台数をドイツ平均の1/4に低減することができました。
以上により熱、電気、交通を含めたエネルギー需要は一般的な住宅よりも半減されました。