チームゼロカーボン始動!

 公立鳥取環境大学4年の高木 朝香です。


 8月11日に行われたチーム「ゼロ・カーボン・チャレンジ」の第1回勉強会(オンライン)に参加しました。



チーム「ゼロ・カーボン・チャレンジ」とは、鳥取県が2050年にCO2排出をゼロにする宣言(ゼロカーボンシティ宣言)をしたことを受け、鳥取県が主催する実践者や専門家、行政担当者などでゼロカーボンの鳥取県の絵姿をグラフィックレコーディング(グラフィック※イラストで話し合いを記録)の手法を用いて、広く県民の方へ発信し、脱炭素社会へ向けた話し合いのテーブルづくりとするものです。


 今回は一般社団法人 地域政策デザインオフィスの3名の講師の方にご講演をいただきました。


(1)「持続可能な地域づくりとは」田中 信一郎 氏 


 今後、地方では人口密度の低下によって様々な課題が噴出します。

 そこで地方に求められることは、①産業の生産性を高めること ②人口密度を高めること

です。

 

 このような苦い現実を地方戦略の出発点へと変えるのが”エネルギー政策”です。


 なぜなら、化石エネルギーは年々価格が上昇しており、近年、私たちは国外への巨額の出費を強いられているからです。

 このような化石エネルギーに頼った社会は、地域外へ経済を流出させてしまいます。

 そのため、地域外への経済の流出を減らし、その分を国内、そして地域内へ回す分散型エネルギーシステム(*)を推進することは、地域経済の活性化と持続可能な地域づくりの両立につながります。


(*分散型エネルギーシステム:省エネ設備投資・売電・熱利用)


省エネ設備投資には省エネだけでなく、もう一つの効果がある!!!

 分散型エネルギーシステムの一つの「省エネ設備投資」は、高断熱高気密な住宅のために設備投資をすることで、エネルギー使用量を減らす効果があります。


 そしてそれだけではなく、もう一つの重要な効果は、高断熱・高気密な住宅は家の中の温度差を小さくし、冬場のお風呂場などで起こりやすいヒートショックやそれに伴う循環器系疾患を防ぐことです!


 循環器系疾患は、医療費だけでなく介護費も跳ね上がるので、県民も行政も苦しい状態に陥りやすいです。そのため、省エネ設備投資は県民や行政の医療費・介護費の減少にもつながります。


さらに、このような省エネ設備投資を地元の工務店などが行うことで、地域経済も潤う地域づくりにもつながります。




(2)「エネルギーを踏まえた防災対策」 あんどう りす 氏


 鳥取県は防災対策の聖地ということを聞いたことがありますか???


 じつは、鳥取県は災害時の支援として一般的な物質支援ではなく、金銭的な支援を最初に始めたことから”災害ケースマネジメントの聖地”と言われているそうです。

 また、災害時に1人1人の被害の状況を聞いて、その状況にあった支援を最初に始めたのも鳥取県です。(アウトリーチ)


 災害が起きるとよくお金がかかって効率が悪いといわれます。

 それを最小限に抑えるために必要なことは、普段から防災を徹底することです。


 しかし、現状はどうでしょうか?普段からハザードマップを見ることはあるでしょうか?ハザードマップに示されている土砂災害警戒区域・特別警戒区域を見てみると、多くの家が並んでいませんか?


 災害対策としては、災害時でも電気が使えるように家屋のエネルギー対策を推進するだけでなく、その家屋が災害時に安全な場所にあるかも大切な要素となります。


 そのために災害時の安全性の有無によって環境配慮型の住宅助成金に強弱をつける必要があると考えられます。(災害に強い家=エネルギー対策



 加えて防災には、家具を固定することも必要です!

 これは災害時、家具の下敷きによって死亡ぬことを防ぐだけではなく、災害時のゴミを減らすことにもつながります。

 しかし、現状では賃貸住宅には”原状回復義務”があるため家具の固定が出来ないことが多いです。

 よって今後は家具転倒防止器具の設置を当たり前にしていくことが必要であると考えられます。


 災害時の避難の際は、車中泊も1つの方法です。

 車中泊で大切なキーワードは「ばすだしで」です。(”ば”:場所、”す”:水平、”だ”:断熱、”し”:収納、”で”:電気自動車)

最近は、車で電気を作り出すだけでなく、空気中から水を作り出すこともできるようになりました。これは世界の水不足を解決する手段にもなるそうです。


 また、災害時に危険とされるブロック塀の撤去を推進していくことも必要です。ブロック塀から地元の杉を使った塀への転換を進めることで、地域経済の循環にもつながります。



(3) 谷口信雄氏 演題:「神奈川県松田町の再生可能エネルギー条例」


 鳥取県 ”ゼロカーボンシティ宣言”!!!

 鳥取県は、2050年までに二酸化炭素排出量の実質ゼロを目指す”ゼロカーボンシティ宣言”を出しました。


 現状は???

 2013年から二酸化炭素の排出量は徐々に低下しています。

 しかし、1990年比で二酸化炭素排出量減少の目標値は14.7%なのに対し、0.1%しか下がっていません。

 よって今後の取組としては、これまでの取組を延長するのではなく、イノベーティブなアプローチから取組を進める必要があると考えられます。


 イノベーティブなアプローチの出発点として最も有効的なのは???

 この取り組みの出発点として最も有効的なのは、地域経済活性化や防災・減災にも有効的である”再生可能エネルギー”を推進することです。


 再生可能エネルギーを推進していくための資金はどう調達するの???

 今後、鳥取県内の電力需要を再エネで賄うことは理論上可能ですが、それに必要な投資額は8兆7195億円です。

 

 この20分の1を投資するとして、この資金を地域内から調達する方法の1つは、地域の金融機関に存在している家庭の貯蓄を利用することです。

 

 地域の金融機関から緑の投資として地域の再エネ事業者へ、これによって享受されたお金をさらに地域事業者へ再投資することで地域経済の良い循環が生まれます。

 

 このように地域主導型の再エネ事業を推進させることは大きな経済効果を生みだします。


 地域経済好循環をより進める”地域エネルギー享受権”とは??? 

 地域経済好循環をもっと進めるためには、域内からの再エネ購入を増加させる必要があります。そのために地域県民が再エネを持続的な方法で優先的に享受する権利として松田町では”地域エネルギー享受権”を定めています。


 鳥取県でも地域主導型再生可能エネルギー事業を県民の理解を得て推進するためにはこのような条例制定が必要になると考えられます。



仕組みづくりが大切!


 このような行政の目線での地域課題や環境問題、地域経済づくり、自然災害へ向けた取り組みについての講演を聞いたのは初めてだったので、とても貴重な時間を過ごしました。


 この勉強会に参加する前まで、環境問題などの社会課題の解決にはひとりひとりが関心を持ち、行動を変えていくことが大切だと考えていた私なのですが・・・

 以前、環境問題に対して行動を移すために電力会社を再エネの電力会社に変えよう(スイッチング)と思っていたのです。しかし、今の電気代よりも高くなることを知って、再エネへのスイッチングをやめてしまいました。今の生活よりも不便になる、出費が多くなることが分かると環境問題に対して意識をしていても、行動に移せなくなることを経験したのです。

 だからこそ、意識をしなくても、人が自然と取り組むようにする「仕組み」づくりが大切だったのだと、この勉強会を通して、実感することができました。

 個々の関心を向上させることや行動を変化させることに加えて、行政がそのような行動や選択を推進させる仕組みづくりについて、改めて考えていきたいと思うようになりました。


 今回の勉強会に参加して、再エネを”環境問題の解決のため”というような一つの視点からではなく、地域単位での経済課題や今後の人口減少によって生じる課題を分析することにより、再エネが地域にもたらす恩恵(便益)がとても多いことに気づきました。これをコベネフィットというそうです。

 

 一つの問題に対して個人でアクションを起こすのではなく、地域の問題を組み合わせて地域全体で多様な団体や個人で共同でアクションを起こしていくことが大きな力となって様々な地域課題・社会課題の解決につながることをこの勉強会から学びました。


 この勉強会を切り口に、環境問題や貧困問題などの社会問題に対して、今後は「社会問題と私の生活との繋がり」の点だけでなく、「社会問題と地域社会との繋がり」の点からも考えていこうと思います。


 田中先生、あんどう先生、谷口先生、そしてチーム「ゼロ・カーボン・チャレンジ」の皆さん、本当にありがとうございました!!



そして次回は!!!


 次回は、9月10日(木)15:00~17:30にチーム「ゼロ・カーボン・チャレンジ」第2回勉強会を開催いたします!

 

 講師はドイツ在住の環境ジャーナリストの村上敦さんです。


9月10日(木)15:00~17:30


テーマ「ゼロカーボン地域づくりの先進事例」


村上 敦 氏

・ドイツ在住環境ジャーナリスト

・一般社団法人クラブヴォーバン代表

・株式会社日本エネルギー機関(JENA)顧問



再生可能エネルギーの割合がどんどん増加しているドイツでは一体どのような取り組みが行われているのか、現地在住の方からお話を聞けるのはとてもワクワクします^^

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